2013年10月02日

半田九清堂元相談役 半田正博氏が急逝されました

ちょっと固い内容です(いつも固いですが)

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ご葬儀に行って参りました。
国宝修理装潢師連盟 加盟修理工房 株式会社半田九清堂 半田正博氏がお亡くなりになりました。

今日社葬に伺って参りました。
↑ この読みたく無くなるような団体は 東京国利値博物館や京都国立博物館等々で、国宝などの日本美術品の修理修復を
専門とする技術者集団です。

装潢師(そうこうし)というのは、経師とか表具師とかと同じ意味で、日本絵画の表装や額装をする職人さんです。
現代では、昔からの美術品をどうやって遺して行くのか、は重要な課題で、その修理修復の技術は日本は世界屈指なのです。

私は、以前勤めていた和紙問屋で、半田九清堂さんの担当営業としていわば「お出入り業者」として紙の納品に通っておりました。
知識ゼロの私が、呑気に言いつけられた通りの紙を持って半田さんの元へ参上すると、気さくなお人柄の半田さんは
その修理の様子を、勉強のため見せて下さいました。

工房は本当にいつも驚愕することばかりで、こんな精緻な作業を延々とするものなのか、と畏れると同時に
国宝級の美術品が並び、その断片やらなにやらを繋ぎ合わせている、現場はまさに静かなる戦場であり
美術と和紙が好きな私にはキラキラ輝ける世界でしたが、
その当時から修理修復は化学系の大学院を出ていないと就職出来ない高度なエリート専門職で、
文系の私はただただ半田さんのお言い付けを守っているような有様でした。

半田さんに素人にもわかる程度のことを教えて頂いたこと、和紙文化研究会で教えを乞うたこと
その出会いが無ければ、私は和紙の仕事はできていなかったと思います。

そんな仕事に就けてくれた当時の会社にも、いまは感謝しています。
当時はぶーぶー文句ばっかり垂れていましたが、
今になって思うに、紙の職人の仕事のこと、和紙に対する、愛情と敬意に溢れた経営者でした(まだ健在で現役です念のため)
この業界で会社を経営維持するには、ご苦労が多かったと思うのですが、いまやっとそんなことがわかる始末です。

話が飛びましたが、
お焼香の時に遺影を拝見しました。とても楽しそうに微笑んでおられて、思わず涙が出ました。

半田九清堂を退職された後、東北芸術工科大学の保存学科で教鞭をとっていらっしゃいました。
教え子とおぼしき方々もたくさん参列されていました。
日本と中国との間での、修理保存に関する技術交流の先駆となられたのも半田さんでした。
一年のうちほとんどを中国に行っておられた頃も覚えております。

私にも、こんなにいろいろ教えよう、引っ張り上げようとして下さった半田さんの期待に応えられなかった・・・
ここ数年は、私はそんな申し訳なさが積もっていました。申し訳ありません、と遺影にお詫びをしてきました。

人生こんなことばっかりです、ほんと。

ご冥福を心よりお祈り申しあげます。
posted by にびいろ at 20:58| Comment(2) | お仕事とは

2013年04月04日

先日某所でつぶやいた、接客のこと

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私は、いわゆるB to Cというのが苦手で、故に接客が得意ではありません。
B to B だと、言わずもがな、業界の常識、基礎知識、みたいな事の上に立って
お話が出来るのですが、
B to C だと、そういうことには全く興味や関心の無い方とお話しすることになるのが、ちょっと苦手なのです。

でも、toCの接客って、本当に大事!と思った事(会社)が2つ。

ひとつは、探し物をしていて、ネットで検索し、全く知らない会社ですがWEBサイトをみて問い合わせをしました。
サイトを拝見した感じ、数十人規模の小さい会社です、十数人、かな?
お電話して、webをみてお問い合わせをしました、というと、だいたい、若干迷惑そうな雰囲気が漂うのですが・・・この会社のまず電話に出た方は、違いました。失礼ながら、小さい会社だと思っていたので期待しておらず、逆に「あれっ?』と思いました。
そして、その丁寧な対応は、社長さんから男性営業さん、事務の方まで、一貫していました。社風だったのか・・・。

そして、私はこの会社は、信じて大丈夫だと思いました。社長さんのご説明も誠実勝つ丁寧でしたし。

もうひとつ、よく利用する「専門小売店」で、
ここは大変専門性の高い商品を扱うお店なので、何かしら質問して商品を探すのですが
いつも、何を聞いても、今ひとつ知りたい答えを貰えず、そして「私はプロなんだから」のような態度に、ちょっと嫌な思いをしておりました。
ところが、今日はいつもの制服を着た販売員さんの他に、法被を着た女性が商品を入れたりだしたりしていました。
これは・・・彼女は社員さんでその分野の専門家なのかもしれない!
そうピンと来て、探し物について尋ねてみました。
そうしたら、するするする〜〜〜と的確なお答えとアドバイスがすごいスピードで出てきました。
・・・すっかり嬉しくなって買いすぎました(笑)

小売店さん、電話多応をする窓口の方、私自身もその立場によく立ちますから
自戒を込めて、自社製品の知識や、接客態度や、お客様ウェルカムな気持ちは、本当に大事です。
すぐに(電話でもメールでも)伝わります。

そして、お客様の本当に求めているものは、
実はそういうもの(些細なでも行き届いたサービス)だったり、しませんか・・・?

かなり偉そうで、ゴメンナサイ、自戒を込めて!です。
posted by にびいろ at 20:05| Comment(0) | お仕事とは